[本論]大川三雄
[作品]徳川義親侯爵邸|東京帝室博物館|原邦造邸
[ドキュメント・ファイル]
渡辺仁は、時代の要請に従って巧みにデザインを使い分け、モダニズムへとつながる建築界の変革期を担った建築家です。大学卒業と同時に鉄道院に勤務しますが、5年後には逓信省に移り、本格的な設計活動を始めます。彼の名が建築界に広く知れ渡るきっかけとなったのは、逓信省での設計活動の傍ら積極的に参加したコンペでした。大正5年(1916)頃から応募し始め、歴史主義の習熟を見せた作品が多く残されています。大正9年(1920)には、渡辺仁建築工務所を開設し、しばらくして1年余りの欧米旅行に出発します。これを境に渡辺仁のデザインにはモダンな味が加わったといいます。帰国後は、さまざまな様式を自在に使いこなし、独自の作風をもつ建築をつくり、活躍しました。
ゼセッションや表現派、日本趣味建築、モダニズムなどに精通し、果敢な挑戦を繰り返した渡辺仁の人間性を見据えながら、3作品を中心に渡辺仁建築の本質に迫ります。