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対談
内藤 『建築家 林昌二 毒本』は、林昌二さんが書かれた初期の1953年の文章から2004年前後の文章までがぎっしり詰まっている上に、一筋縄でも二筋縄でもいかないような内容になっていまして、改めて読み返してみますと、今日は最難関かもしれないと思いました。まず最初は、多分、どなたにも聞かれると思うんですが、この表紙は頭蓋骨のCTですね。林さんのアイデアですか。こういう表紙にしてくれと林さんが言われた?
林 ええ。
内藤 ちなみに、これは誰の頭蓋骨ですか。
林 私のですよ。人のを使うわけにはいかないですから(笑)。
内藤 どういうところから思い付かれたのですか?
林 これをよーく眺めていると、私が何を考えているかが見えてくるんじゃないかと…(笑)。デタラメな発想ですけどね。ちょうど、この本をつくる少し前に、CTスキャンを撮ったんですよ。あれだけ苦心して撮って、ただ医者が見るだけじゃもったいないと思って、この本に応用することを思い付いたんです。お医者さんに「写真を貸してくれるか」と聞いたら「どうぞ、どうぞ」とコピーをくれた。それでやる気になりました。ただ、これは脳そのものじゃなくて、入れ物、箱ですからね。脳なら、なお面白かったんですが…。
内藤 ちょっとない表紙ですね。
林 こんなバカなことをする人は他にはいないですね。
内藤 『毒本』の“毒”ですが、それも赤字で目立つようにしている。石堂(威)さんの編集後記を読むと、初めから林さんが「このタイトルでいきたい」と強く主張されたそうですが、編集者としては心配ですよね、こんなタイトルを付けたら売れないんじゃないかと。
林 脳の写真を載っけて“毒本”と付ければ、かなり調子が良かろうと思ったんですよ。私は気に入っているんです。こんなことは、しょっちゅうはできませんからね(笑)。
内藤 タイトルの頭に“建築家”と小さく乗っかっていますね。
林 これはちょっと変なんですけど、それがないと"林昌二"とは一体何者であるか、実在する人物かどうかも分からない…というわけですよ。私は何だか模様のような名前だから。やっぱり要るんじゃないかということになって。
内藤 実は、俺こそが建築家だと表明している、何となくそういうふうにも見えますね。林さんは建築家協会の会長をやられていましたが、一方で、ある意味で建築家という存在が作家性とか作品性とペアで考えられていることに対して、終始、批判的なことを書いていらっしゃいましたから。
林 いやいや、それほどのことじゃないです。でも建築設計家というのも変だし、私は何しろ長いタイトルは良くないと思っているんですよ。それで、まあ、ご免被って、建築家しかないかと。
序論・コラム
序論 東京工業大学大学院 教授/安田幸一氏
コラム1 建築家・早稲田大学 教授/古谷誠章氏
コラム2 朝日新聞 東京本社文化グループ記者/大西若人氏
左写真上から:「私たちの家」、「三愛ドリームセンター」、「三愛ドリームセンター(施工中)」(写真:日建設計)、「パレスサイドビル」、「ポーラ五反田ビル」
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